2006年12月28日 (木)

Vol.11 超弩級「B0ノビ」で
820万画素をプリント!

さて、今年も残すところあと3日になりました。
このブログもドイツでのW杯取材から帰国直後に開設(だからトップ画像もドイツで撮ってるんです。全然そう見えないですけど)。それから半年、あっという間でした……ってあんまり更新してないからか。

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ドイツだかどこだかわからない写真。

そもそもここを始めた目的は、買ったばかりの30Dを今まで使ってきた20Dと比べてみることでした。一見違いのなさそうな両者ですが、使ってみると「さすがキヤノン、改良してきたな」と思うことが多々ありました。そういったユーザーならではの感想をレポートしたかったわけです。
でもやっぱりネタが……。途中からレンズのレポートになったり、流し撮りチャレンジ企画になったりしたのも、致し方なかったわけです(あれはあれでおもしろいといってくださる方もいましたが)。

というわけで2006年を区切りに、一旦このブログは終了することにしました。そして締めの企画は……。

巨大プリント。

やっぱりカメラの話じゃないじゃん。

いえいえ、30Dで撮った画像がどこまできれいに伸びるのかをお見せしたかったんです。最近じゃ弟分のKissデジタルXまで1000万画素を超え、820万画素の30Dや20Dはなんかもう終わりみたいにいわれてますからね。
でも820万画素だってイケるんだぞ! ということを最後に主張したかったわけです。

といっても僕が所有しているプリンタはA3ノビ対応。このサイズなら余裕で伸びちゃうわけです。そこで考えたのが「キヤノンで一番大きなプリンタで伸ばしたらどうだろう」。でもそんなの買えないし、持ってる友達もいない。
ってわけで日頃お世話になっているキヤノンマーケティングジャパン(CMJ)の広報・三浦さんにご相談したところ……。「よっしゃ! ひと肌脱いでやろうじゃないの!」というありがたいお答えが(三浦さんそんなべらんめえ口調じゃないけど)。

そして昨日、東京・品川のキヤノンSタワー(CMJ本社ビル)を訪れました。三浦さんに案内されたのは、大判プリンタ「imagePROGRAF」シリーズがずらりと揃ったフロア。一般に開放しているわけではありませんが、今回は取材ということで特別に使わせていただきました。

もっとも僕の「一番大きいのを使わせてください」というリクエストに、三浦さんは「一番ですと……大き過ぎますよ? 2番目でいいですか?」。
聞けば最上位機種のiPF9000は幅60インチ(=約150センチ!!)まで対応。お値段は199万8000円という、まさにキング・オブ・プリンタなのです。幅150センチということは、長辺は2メートルをオーバー。やってみたいけど確かにちょっとデカ過ぎかも。

というわけで今回は2番目に大きなiPF8000に挑戦しました。2番目といっても最大B0ノビ(幅44インチ=約110センチ!)に対応。これでもデカ過ぎです。本体も幅189.3センチというから、もし我が家に置いたらまさに「プリンタとともに暮らす」生活。気になるお値段は64万8000円ナリ。

プリントするカットは、僕が6月にドイツで撮影したスナップにしました。作業にはPowerMac G5とPhotoshop CSを使用。

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久々に触るMacに悪戦苦闘していると……。

 

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フチなしに設定したはずなのに、あらまびっくり。出てきたプリントには変な余白が。しかも片側が極端に空いてるし……。

そこで専門スタッフの方にSOS。聞けばCSにiPF8000のプラグインがインストールされており、それを使えば簡単できれいにフチなしプリントができるとのこと。本来は別々に設定する画像サイズとプリントサイズを、同時に設定することでジャストサイズにプリントできる、ということのようです(解釈間違えてたらすまん。この辺の話、拙者ちと疎いもので……)。

そして再チャレンジ。安倍内閣の再チャレンジ政策は五里霧中といった今日この頃ですが、僕の再チャレンジは見事成功しました。

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ほら! フチなしプリントが出てくる出てくる!!

しかも印刷スピードが結構速いんです。興奮しちゃって時間計るの忘れちゃったんだけど、6〜7分といったところでしょうか。もちろん絵柄や紙、印刷画質によって変わりますが(今回はフォト半光沢紙で、画質は3段階の真ん中に設定)、カタログによるとサンプル画像を最高品質でプリントして12.7分だそうです。
また1枚あたりのコストですが、カタログによればフォト光沢紙に最高画質でプリントした場合、インク代だけで227〜241円。もっとも測定用サンプルは余白の多いポスターなので、普通の写真なら紙代を含めて1000円弱ではないか、とのことでした。サイズを考えたら格安ですわな。

しっかしまぁ、出てきたプリントのデカいことデカいこと。

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42×60インチ(=約105×約150センチ)だもんな。

 

デカいのも驚きだけど、もっと驚きなのは解像感の高さ。820万画素をこのサイズでプリントすると、解像度は約55dpi。A4などにプリントするときは300dpiが目安とされていますから、随分低いわけです。
でも補完技術がすばらしいのか全然問題なし。近くでよーく見ればドットや偽色もわかりますが、少し離れて鑑賞するには何ら違和感はありません。むしろ35mmフィルムから銀塩でこのサイズに伸ばしたら、絶対にここまで解像しないだろうというレベルです。12色ものインクを使っているおかげで、階調もとても豊か。
銀塩の引き伸ばしは、いわば“複写”のようなものですから、どうしても画質は劣化します。でもデジタルなら(プリンタの基本性能が高いというのが前提ですが)画像の持っている情報をフルに引き出せるわけです。デジタルのメリットは、プリントにこそあるのだと改めて実感しました。

といいつつ実は僕、今もプライベートの作品はモノクロフィルムで撮影し、自宅で現像やら引き伸ばしやらをしています。でもデジタルがダメというわけではなく、単に今まで撮ってきた作品と“違い”が出るのに抵抗があるだけです。
善し悪しでいえば、もはや覆い焼き・焼き込みが自由自在なデジタルかもしれません。最近事あるごとにデジタルのモノクロプリントを試しているんですが、顔料系プリンタならかなり質の高い(状況によっては銀塩以上の)プリントが仕上がります。

そういえばiPF8000のインクも顔料。となればモノクロに挑戦しないわけにはいかないでしょう。三浦さんも「いいですね。これ、モノクロもきれいに出ますよ」。

そこで選んだカットは古い街並みの路地裏で撮った野良猫。

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Photoshop上で色情報を一旦破棄した後、シアンを10、ブルーを5足してやや青みを強調。さらにグレースケールノイズを4%加えて、ざらついたフィルムっぽさを出してみました。

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結果は……なかなかいい感じ!

あまりにもいい感じなので、帰宅してから自宅兼事務所の模様替えに使ってみました。


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ちょうど引き伸ばし機を置いているところに、自分が撮った写真や海外で買ったポストカードなどをベタベタ貼っていました。引っ越して3年で自然とこうなったわけですが、なんかまとまりがないなぁと思っていたとこだったんです。

そこで……。

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じゃーん!

っていうか、やっぱデカっ!!

よく見ると猫のしっぽのあたりに、引き伸ばし機の支柱があります。それが高さ1メートル。さらにその右に赤い箱が写っていますが、4〜5日くらいの旅で使っているスーツケースです。左側にテレビも32インチあります。ね、デカいでしょ。

おかげでだいぶ部屋の印象も変わりました。これだけのプリントが壁を覆って、ちょっと圧迫感はありますが(なにせ部屋が狭いもんで……)、まぁカメラマンの事務所っぽくていいかなと。


というわけで読者の皆さまには半年間にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。
来年はもっとおもしろいことをお伝えすべく、正月は里帰りもせず知恵を絞りたいと思います。キヤノンさんが新しいデジタル一眼出してくれれば、すぐ“ヒトバシラー”になる覚悟はあるんですけどね!
ま、次の企画(と製品)に乞うご期待!!

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2006年12月 4日 (月)

Vol.10 ついにあのレンズを購入!

70200_f4_2 以前ここで「絶対に買う」と宣言していたEF70-200ミリF4L IS USM、早速発売当日(11月23日)に買いました。
それならすぐにレポートをアップしろよ、という話はとりあえずナシで。

これ、既存のモデルにIS(イメージスタビライザー)が組み込まれ、シャッター4段分の手ブレ補正効果がある、そうです。まぁIS自体は僕もEF-S17-85mmF4-5.6 IS USMやEF24-105mmF4L IS USMで体感してきました。でもやはり望遠でこそその効果があるというものです。

思えばこれまで使ってきたEF70-200ミリF2.8L USMを買ったのは4年前の春でした。
その年のはじめ。僕はバブルが崩れ始めたIT業界を去り(実はIT戦士だったんです。あえなく戦死しましたが)、古巣のマスコミ業界に戻ろうと決意しました。そして転職先を探しているうちに「こっち手伝ってよ」「うちもお願い」とあちらこちらからヘルプのお呼びが。もちろんその中にはCAPA編集部もあったりして、結局なし崩し的にフリーの何でも屋になったわけです。

実際のところ仕事はモノを書く方がメインになったわけですが、当初は好きな写真で喰っていこうと思っていました(今年やっと収入が7:3くらいになってきました。もちろん写真が3……)。
そうなるとある程度の機材が必要なわけです。なのに当時持っていた望遠レンズは単焦点のEF200ミリF2.8L USMだけ。これじゃいかんだろうとL玉の望遠ズームを買おうと思ったわけですが……。
いやぁ迷いました。F2.8のIS付きとISなし、そして手頃なF4、どれにすべきか。候補は当時巷でバカ売れしていたF2.8のIS付きです。

そこで新宿西口某カメラ店へ買いに行くと、F2.8のISつきとISなしの価格差はなんと8万円。わずかな退職金を放浪の旅と車検で使い果たした身に8万円は大きいわけで(いや、今も大きいけど)、さんざん迷った挙げ句ISなしを注文すると……。
店員さんが「ISなしでファイナルアンサー?」と3度も確認してくるじゃないですか。そんなにしつこく聞かなくてもいいじゃねえか、みのもんただって1回しか聞かねえぞ、なんて思いながらISなしでファイナルアンサーしたわけです。

でもね。やっぱりIS欲しいときってあるのですよ。っていうかあった方がいいに決まってる。いっF4Lにしとけばよかったかな、と思うこともありました。
そんなモヤモヤした思いを抱いてはや4年。F4LのIS付きが出ると聞いたときは、ついに来るべきものが来たかという感じでした。プロの間でも「F2.8LよりF4LにIS搭載してくれれば、そっち買うのに」という声も聞かれていましたからね。
というわけでこのたび、めでたく(というか珍しく)発売日に即買いした次第です。

で、入手したF4L ISをさっそく開けてみると……ん? 白い部分の色がF2.8Lと違う。

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そう、F2.8Lの金属製に対し、F4Lはピントリング部分をのぞきプラスチック製なんです。重さや対衝撃性を考えると金属製がいいとは一概にいえないので、僕はこれでいいんじゃないかと思いますが。

しかしながら圧倒されたのはスイッチ類。

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AF/MFに、AFリミッター、ISのオンオフ、そしてISのモードスイッチ。4つも並んでいます。そう、このレンズには通常と流し撮り用、2モードのISが付いているんです。スイッチなんて数ありゃいいってもんじゃないけど、こんなにあると何だか得した気分。

 

そして何より感心したのがスイッチの作り。以前のEFレンズはスイッチが出っ張っていて、気がつかないうちに切り替わっていたこともしばしば。なので僕はスイッチ類にパーマセルテープを貼っていました。
しかしいつからか、誤作動防止のためにフラットなものになっていました。僕が持っているEF24-105ミリF4L IS USMもすでにこのタイプですが、結構ありがたいです。あとF2.8Lと比べてありがたいのは最短撮影距離が1.5mから1.2mに短くなったこと。これはネイチャー撮る人には重要かも。

でも何よりありがたいは、当然ですが軽いことですね。F2.8Lの1310g(IS付きなら1470g)に対し、わずか760gです。これだったら気軽に持って歩けるぞ!
というわけで先日鎌倉へテスト撮影に行ってきました。

紅葉にはまだ少し早かったんですが、小春日和のいいお天気でした。

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EOS20D、EF70-200ミリF4L IS USM(200ミリ相当)、Avモード・F4.5・-1/3段(1/500秒)、ISO100

これをピクセル等倍で拡大すると……。

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ピンが来てる! 来てるっ!!

バリバリにシャープです。ボケ味も悪くないし。
気になるISについては、天気が良過ぎてなかなか実写で確かめることはできませんでした。しかしファインダーをのぞくだけでその凄さはわかります。不気味なくらい像が止まるんです。シャッターを半押しすると、ジーッというISのモーター音が「え? 故障?」というくらい聞こえてきます。
以前F2.8LのIS付きも使ったことがあるんですが、ここまでISが効いた記憶はありません。思えばあちらはカタログに「3段分の手ブレ補正効果」とありますが、こちらは4段分もあります。たぶん制御技術が進化しているのでしょう。もう今日からこのレンズを勝手に「止まルンです」と呼ぼう。

なおIS搭載にあたって、組み込まれたレンズは13群16枚から15群20枚に増えています。するってえと逆光時の性能はどうなんだろうと思いました。
でも若干ハレーションは起こるものの、やっぱりシャープでした。ほれ。

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EOS20D、EF70-200ミリF4L IS USM(93ミリ相当)、Avモード・F4・-2/3段(1/200秒)、ISO100

とここまで作例を紹介して「あれっ?」と思った方は、相当カンがいい方です。そう、久々に20D使っているんです。
ときどきアルバイトで僕の助手をしてくれるAちゃん(写真部に所属する女子大生)が、「デジタル一眼を使ったことがない」というので、研修ということで30Dを貸してみたのです。
彼女は高校から写真を始め、EOSの使い方も熟知しています。というわけでISO感度設定などを軽く教えただけで、30Dを器用に使いこなしていました。さすが我が助手、なかなかやるではないか。

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逆光が好きだという彼女。「ゴーストが出ない……」といいながら撮っていたカットがこれ。Lレンズ(EF24-105ミリF4L IS USM)じゃ簡単には出ないわな。

 

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出た出たゴーストやっと出た。

 

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スナップもやっぱり逆光。なかなかいい感じではないか。

 

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その撮影風景。「ピントが合わな〜い」といいながら、一生懸命追いかけていましたとさ。

帰り道、彼女に初めてデジタル一眼を使った感想を聞いたところ、一言「便利だけど重たい」。着けてたレンズが24-105ミリだからなぁ。

有能な助手が早くKissデジタルXを買えるよう、今度手伝いに来てくれたときは日当を少し弾んであげようかと思う今日この頃です。

 

 

 

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2006年11月16日 (木)

Vol.09 サーキットで奮闘す、の巻

ご無沙汰しております、シカノです。ブログで「ご無沙汰」って一体なんなんだ、という話はとりあえずナシで。

いやー、でもここ読んでくれている方、結構いるんですね。先日も人づてにキヤノンの方々がここをチェックされていると聞きました。それならいろいろ要望出しちゃおうかな。えーとフルサイズで秒5コマでダストブルブル機能が付いて20万円くらいのデジカメ早く出してください。お願いします。

前回はF1を撮ることからカメラを始めた、という話を書きました。まぁいざ本格的に写真を始めると撮りたい対象が他に移ってしまい、サーキットに行ってもカメラを持っていかないような(もといサーキットにもあまり行かない)状況が続いておりました。

ところが去る11月5日。久々に挑戦したのですよ、サーキットでの撮影に。
まともにレースを撮ったのは92年のF1日本グランプリ以来です。このときはケンコーの2倍&1.5倍テレコンを購入。EOS-1HS+EF200ミリF2.8Lに着けて「おりゃー! 600ミリじゃあー!」と気合いでマンセルとかセナとかウキョーを追っていました。600ミリといってもF8だからファインダー暗いのなんの。でも座った席(2コーナー出口)がよかったせいもあって、結構撮れたりしたんですな。

で、このたび撮影してきたのは、富士スピードウェイで行われたSuper GT・最終戦。
今回は仕事ではなく、チームルマンからエントリーしている飯田章選手のご招待。知人の紹介で知り合い、「一度レースを見に来てよ」ということでこのたび応援に駆けつけました。

早朝にサーキット入りした僕は、パドックをウロウロ。すると中嶋悟氏、星野一義氏、鈴木亜久里氏、関谷正徳氏と、僕がガキの頃の大スターがそこいらじゅうにおられるではありませんか。皆さん監督を務めておられるのですな。監督といえばマッチでーすのマッチもいました。
さらにチームルマンのピットでコーヒーをいただいていると、「おはよう〜」と入ってきたおじさんが。見たことあるなぁと思ったらブリヂストンの浜島さん(F1の中継で必ずインタビューを受け、必ず「今日はミハエル(シューマッハ)がやってくれると思います」と答えている人)でした。
さすが日本でもっとも熱いレース、モータースポーツ界の大物が勢揃いです。当然ギャラリーの数もすごいわけで、巨大なグランドスタンドは超満員でした

そんな盛り上がる一戦に僕が持参した機材は30Dに、望遠はEF70-200mmF2.8L(ISなし)。35mm換算で320mmですから、まぁそこそこいけるのではないかと思ったんですが……。

 

甘かった。

 

ヘアピンでは……

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遠っ! 豆粒のようにしか写らない……。

 

まぁウェブに載せるのなら

 

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これくらいトリミングするという手がありますけどね。どうです、とても上と同じ写真には見えないでしょ。威張ることじゃないか。

というわけで姑息な手段はやめて、正々堂々勝負することに。ピット屋上へ移動です。
ここならメインストレートをフル加速するマシンが数十メートルの距離で撮れます。ファインダーをのぞくと、200mmでもマシンが画面いっぱいに収まりそう。

さぁ来い!

 

と思ったんですが……

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速っ! 全然追いつかない……。

僕が悪戦苦闘をしている様子を見て、隣で1D MarkIINを駆使するお兄さんが「このへんで時速220〜230kmくらい出てますからねぇ」と涼しい顔。
よーし、こうなったら意地でも撮っちゃる!

 

そして回を追うごとに……

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ほら!(これもちょっとトリミングしてますけど)

やっぱり流し撮りは“慣れ”です。周回数を重ねるごとに成功率も上がっていきました。やるじゃんオレ。
なんて思っていたら電光掲示板の周回数は「65」。レースは66周です。こうして14年ぶりの“高速バトル”は幕を閉じました。

来年はここにF1を見に来たいなぁ。でもレースをじっくり見たいから撮影はいいや……。そう思う秋の富士でした。

次回は月末の頃「紅葉の撮影」をお届けしようかと思っています。撮影からアップまでの期間短縮が目下課題です。

 

最後におまけギャラリー。
スターティンググリッドにて、飯田選手3連発。

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EOS30D、EF-S10-22ミリF3.5-4.5 USM(12ミリ相当)、Tvモード・1/100秒・+1段(F7.1)、ISO100

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EOS30D、EF24-105ミリF4L IS USM(85ミリ相当)、Avモード・F4(1/500秒)、ISO100

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EOS30D、EF24-105ミリF4L IS USM(105ミリ相当)、Avモード・F4.5・+2/3段(1/200秒)、ISO100

レース中、モニターで戦況を見つめるクルーたち。

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EOS30D、EF-S10-22ミリF3.5-4.5 USM(11ミリ相当)、Tvモード・1/60秒(F7.1)、ISO640

※写真はすべてホワイトバランス=オート、ピクチャースタイル=スタンダード

<お詫び>
レースクィーンの写真がなくてごめんなさい。

 

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2006年10月 5日 (木)

Vol.08 ハイビジョンで写真鑑賞会!

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「CAPAカメラネット」リニューアルでアクセス数も急増しているというのに、更新頻度は相変わらずなグータライター・シカノです。

先週、ちょっとした買い物をしました。ハイビジョン液晶テレビ(シャープのAQUOS・32インチ)です。
10年使ってきたテレビが不調だったというのもあるんですが、いよいよ目前に迫ったF1日本グランプリがハイビジョン放送(F1中継初!)というので、ド迫力で観戦しようというわけです。本当は鈴鹿に行きたかったんですけどね……。

何を隠そう19年前に行われた鈴鹿初のF1日本グランプリ。まだ中学2年生だった僕はわずかな小遣いを1年前から貯め続けて、東京からひとり観戦に行ったのです。人生初のひとり旅ですから、新幹線で名古屋駅に降りたときは右往左往。宿なんか取れるはずもなく、前夜はサーキット内のボーリング場で仮眠をしました。
そしてレース当日。パパに連れていってもらった現・某F1ドライバーは最終コーナーの指定席で観戦したそうですが、僕は当然自由席です。といっても当時はほとんどが自由席だったので、随分楽しめました。今まで遠い世界を走っていたF1を逆バンクで、ヘアピンで、スプーンで、130Rで、金網にかぶりついて見たものです。

ちなみにこのとき僕は同級生から28-200mmズーム付きのMF一眼レフを借りて持っていきました。それで僕はレース雑誌のようなカッコいい写真を撮ろう(というか撮れるだろう)と思っていたのですが……。
実はこのときが一眼レフ初体験。ピントはほとんど合っていましたが、被写体はほとんどブレブレでした。10枚に1枚くらいは流し撮りが決まっていて、今思えば奇跡ですけどね。当時はそりゃもうショックでした。一眼レフがあればプロのような写真が撮れると甘っちょろく考えていたシカノ少年は、プロの壁を思い知ったのです。

その後、僕は自分でカメラ屋さんに行って一眼レフを買い……たかったのですがそんなカネはなく、代わりに書店でカメラ雑誌を買いました。でも肝心なカメラを持っていないので、絞りやらシャッター速度やらといわれてもチンプンカンプン。もっぱら誌面に載っていた高級一眼レフを見て「いつかこんなカメラが欲し」と夢想し続けていたのです。
そして高校の入学祝いで発売直後のEOS630をゲットし、当然のごとく写真部に入部。猿のように写真を撮り始めるのでした。もちろん教科書よりもカメラ雑誌を眺めている時間の方が長い、きわめて模範的な高校生でした。

あれから年月は流れ、今こうしてそのカメラ雑誌で仕事をしているわけですから、人生ってわからんものです。ともあれCAPA創刊25周年、おめでとうございます……いや、ありがとうございますっていうべきかな。ま、どっちでもいいや。


って、そんな話を書くつもりじゃなくて、テレビに30Dをつないでみたよっていう話をしたかったんだ。
今までデジカメで撮った写真をテレビで見るなんて、まったく考えたことなかったんですけどね。せっかく大画面のデジタルハイビジョンがあるのだから、傑作を映してみようじゃないのというわけです。ひとり暮らしだから結構寂しい行為ですけどね。


早速テレビと30Dをつないでみました。寂しいけどネタのために。
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このテレビは横にゲーム機器用の端子があるので、接続はいたって楽。あとは入力を切り替えるだけ。


我がAQUOSの解像度は水平1366×縦768ドット。JPEGのスモールで撮っていても余裕で表示できます。
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画面サイズが自動的に「ワイド」になったため、やや横長になっています。撮影後に手動で切り替えたら、縦横比はオリジナルと同じ3:2になりました(でも周囲に黒い縁がついてしまいました……)。


もちろんインデックス表示も可能。
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テレビと接続している間は背面モニターがオフになります。不自由はしないんですが、テレビを見ながらカメラをいじるのは、ちょっと変な感じ。


というわけで写真ではあまりきれいに見えませんが(液晶テレビは輝度差が激しいので)、肉眼では画質も良好でした。微妙なトーンもよく再現しくれます。
ちなに映し出してるのは先週、岐阜・郡上八幡で撮ってきた写真。旅の思い出も鮮やかに蘇るってもんです。たとえ寂しくても。


そういえばキヤノンも近々テレビ市場に参入する予定だとか(とだいぶ前からいわれていますが……)。液晶・プラズマに続く「第3の薄型テレビ」SEDを、満を持して投入するそうです。
キヤノンが出すからには、きっとEOSデジタルとの連携機能なんかもあるんだろうんなぁ……と勝手に想像を膨らませてしまうんですが。どうなんですかねぇ、キヤノンさん?

というわけでまた来週(あたりに)。次のお題は、例によって次までに考えます。

今回お見せするのは、テレビに映し出した郡上八幡の続き。


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名水百選の第1号・宗祇水にて。とても狭い空間だが、超広角10mmでフレームに収めることができた。
EOS30D、EF-S10-22ミリF3.5-4.5 USM(10ミリ相当)、Avモード・F8・-2/3段(1/100秒)、ISO100、ホワイトバンス=太陽光、ピクチャースタイル=風景


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郡上八幡はいたるところに小川が流れ、市民の生活用水にもなっている。この写真は腕を伸ばしてカメラを川面に近付け、ノーファインダーで撮影。ファインダーから光が入り込むと内蔵露出計が狂うので、接眼部を左手で覆った。
EOS30D、EF-S10-22ミリF3.5-4.5 USM(10ミリ相当)、Avモード・F8(1/80秒)、ISO100、ホワイトバランス=太陽光、ピクチャースタイル=風景

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1/10秒のスローシャッターで水の流れを表現。あいにく三脚がなかったが、ISのおかげで手ブレをせずに撮影できた。
EOS30D、EF24-105ミリF4L IS USM(50ミリ相当)、Avモード・F10(1/10秒)、ISO100、ホワイトバランス=オート、ピクチャースタイル=風景

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お昼に食べたのは、おいしい水と地元産のそばの実を使った「極上そば」。大盛で2000円ナリ。食べる方に忙しいので、カメラ任せで急いで撮影。
EOS30D、EF24-105ミリF4L IS USM(55ミリ相当)、Avモード・F4(1/40秒)、ISO400、ホワイトバランス=オート、ピクチャースタイル=スタンダード

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2006年9月17日 (日)

Vol.07 パソコンで30Dのシャッターを切る!?

30dphえー、1か月以上も更新が滞ってスミマセン……。只今この不肖、学研から10月2日に発売されるムック「EOS Kiss MAGAZINE Vol,1」の編集をやっております。連日その作業であたふたしております。

とお詫びのついでに宣伝させていただきますと、この本はもちろん新製品・EOS KissデジタルXを紹介しちまおうというもの。入門機なのに1010万画素ということで20Dや30Dのユーザーなら気になる(というかジェラシーすら覚える)であろうKissデジタルXについて、徹底的に解剖……といいたいんですが、実はちょっと違います。

機能やスペックの説明は本当に必要最小限。それよりもKissデジタルXの楽しさや可能性を伝える内容になっています。詳しくは書店でご覧になって、そのままレジへお持ちください。KissデジタルXが欲しくなるはず……ってこのブログの趣旨は「20Dを持っている人に30Dをお勧めする」だったな。まいっか。

Kiss 実は僕もこの本で自ら作例を撮影。KissデジタルXを持って2泊3日で尾道を旅してきました。

どうせKissだろ? 背面ダイヤルねえし、シャッターレスポンス悪いし……と先入観だらけで尾道へ向かったんですが、反省しましたよ。なかなかいいですKissデジタルX。操作性などはもちろん20Dや30Dの方が上ですが、この性能でこの値段(実売でボディが9万円くらい?)なら誰も文句はないはず。文句があるやつはオレんとこへ来い! なんて書いて本当に来られたら困りますが。
 

もっともここを熱心に読んでくれている皆さんには、KissデジタルXと同時に発表されたEF70-200mmF4L ISとEF50mmF1.2Lの方が気になっているんじゃないでしょうか。僕も仕事抜きで考えたらそうです。

EF70-200mmF4L ISは「隠れた名レンズ」が待望のIS化。プロの間でも「F4LにISがあればなぁ」という声が多く、こりゃ大ヒット確実でしょう。僕もF2.8Lをこちらに買い換えようかと思っています。F値は1段暗くなるけど、ISは4段分カバーしてくれるというので、3段の余裕が生まれるわけです。それほどボケ味が必要な撮影をするわけじゃないし、むしろ極力荷物を軽くしたいことの方が多いですし。

というわけで入稿が終わったら予約します。もちろん入手したらここでレポートしますよ……ってその頃までここ続くんですかねぇ?

それからEF50mmF1.2Lも気になります。僕が写真を始めたのは高校1年生。ちょうどEOSデビューの年で、キヤノンの一眼レフといえばまだFDマウントが主流でした。その中で燦然と輝いていたのがFD50mmF1.2Lです。50mmはF1.2・F1.4・F1.8と3本もあるのに、さらにその上をいく存在なわけです。シカノ少年は授業中、ノートに挟んでいたFDレンズカタログをこっそり眺めて「F1.2とF1.2Lの違いってなんなんだろう」と先生の話もそっちのけで空想にふけっていました。
 

ちなみに当時高校生のくせにこれを持っていた友人がいました。数年前に福島でSLに乗ったら、偶然その友人と10年振りに再会したんですが、キヤノンT90にやはりこのレンズを着けていました。僕が「まだ使ってるの?」というと、「うん。3本目だけどね」。F1.2Lの何が彼をトリコにしていたのでしょうか。そしてEF50mmF1.2Lはやっぱり買うのでしょうか。どこかで再会したら訊ねてみたいものです。
 

とまぁ現物も見ていないレンズの話でここまで引っ張ってしまいました。
 

本当は、今回紹介したかったのは、EOS Utilityです。
僕はこの夏、新しいノートパソコン(VAIO type T)を買いました。基本的にパソコンはデスクトップを使っていたんですが、ワールドカップの取材でスポンサーからノートパソコンをお借りし、改めて「ノートって便利だな」と痛感した次第。
そこで5年前に買ったミニノート(VAIO C1)を引っ張り出したんですが……CPUは激遅、バッテリーは死亡。というわけで新しいVAIOを買った次第です。
 

でもってデジタルフォト関連のソフトも入れまくりました。30Dに付属していたソフトもインストールしたんですが、その中の「EOS Utility」が最近何かと重宝しています。

 

その理由はパソコンでシャッターが切れること。USBケーブルでカメラと接続し、ソフトを立ち上げて「カメラの設定/リモート撮影」を選ぶと……

Zoombrowser_2 こんな画面が出てきます。カメラマークをクリックするか、Enterキーを押すとシャッターが切れるという仕組み。撮影したばかりの画像はパソコンに表示され、保存はCFのみ・パソコンのみ・両方の3通りから選択可能です。
またここではシャッタースピード、絞り、感度、露出補正、測光モード、ホワイトバランス、ピクチャースタイル、所有者名、時刻が変更できます。CFカードの初期化やファームウェアのアップデートもOK。そしておもしろいのが記録画像の向きを変えること。カメラマークの右上にあるボタンをクリックすると、マークが90度単位で回転します。縦位置だけでなく180度回転(つまり天地逆さま)も可能。主な操作でできないことといえば、撮影モードと連写モードを変えること、そしてAFを作動させるくらいです。
リモート撮影は一般的にはあまり縁のない機能ですが、三脚を据えて物撮りをするときはかなり便利です。パソコンの画面をファインダー代わりにできたら最高なんですけどね。
 

また30Dの背面には20Dにはないイージーダイレクトボタンが付いています。これでカメラからパソコンへアクセスできます。
付属のUSBケーブルでパソコンに30Dを接続。電源をオンにすると、パソコンでは「EOS Utility」が自動的に立ち上がります。カメラの背面モニターには「ダイレクト転送」の画面が表示され、メインまたはサブ電子ダイヤルで項目を選択。イージーダイレクトボタンを押すと実行です。
ここで「全転送」を選べばすべてを転送。「画像を選んで転送」にすると、SETボタンまたはイージーダイレクトボタンを押した画像がリアルタイムで転送されます。結構甘く見ていましたが、かなり便利かも。そして気になる項目が「パソコンの背景」。これを選んでイージーダイレクトボタンかSETボタンを押すと……あら不思議! 瞬時にパソコンの壁紙になっちゃいます。
 

というわけで僕はこれまでケーブルでの転送をやったことがありませんでした。でもやってみると結構速い。そこで他の手段と所要時間を比較してみました。
使用したCFカードはサンディスク・エクストリームIIIの1GB。RAW+JPEGラージファインを96枚撮影し、液晶には「Full CF」が表示される状態です(後でパソコンで開いたら948MBでした)。これをVAIO type T(HDDは4200rpm)に転送して、所要時間を計測してみると……

まずPCカードスロット……20分46秒。激遅。

次にUSBカードリーダー……3分56秒。やっぱり速い。

そして30Dとケーブルで直結……4分48秒。ってお、おい勝ってくれよ! 話が続かねえじゃん!!

続かないので今回はここで終わります。次のお題は考え中です……。

 

 

最近30Dで撮影していないので、今回はお見せするものがありません。なのでKissデジタルXで撮影したなかから、ムックで使わなかった写真を……。

尾道の名物といえば、迷路のような路地とそこで暮らす猫。寝そべって猫の目線で撮影した。しかしなんというポーズなのだろう……。
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EOS KissデジタルX、EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM、Pモード(1/30秒・F6.3)、ISO800、ホワイトバランス=太陽光、ピクチャースタイル=風景

こちらはお行儀のよい猫。
Img_1263_1
EOS KissデジタルX、EF-S18-55mm F3.5-5.6 USM、Avモード・F5.6・-1/3段(1/250)、ISO200、ホワイトバランス=太陽光、ピクチャースタイル=風景

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2006年8月 9日 (水)

Vol.06
EF-S17-55ミリF2.8 ISを使ってみた!

1755 先月末、「写真甲子園2006」取材のため北海道へ行ってきました。その模様は9月20日発売のCAPA10月号でご欄いただくとして……。

 せっかくの機会なので、この取材でキヤノンからEF-S17-55ミリF2.8 ISをお借りしてみました。ネットで検索をかけると、さまざまな掲示板で「かなりいいらしい」と噂されている注目のレンズです。
 実はこれ、発表直後に僕も購入を考えました。ただ発売時期が5月末ということで、5月下旬に出発するワールドカップ取材には間に合いそうもありません。そこで諦めて30D+EF17-85ミリF4-5.6 ISのレンズキットを購入したのでした。

「諦めて」なんてとてもマイナスな選択ですが、17-85ミリはそれなりに気に入りました。でもやっぱり望遠側でF5.6というのは暗いんです。背景を満足にボカすこともできません。そしてそれ以上に悩ましいのが、AFの精度が心なしか低いことです。
 EOS20Dや30DはF2.8より明るいレンズを装着すると、「ニッパチセンサー」と呼ばれる(というかCAPA編集部内でそう呼ばれている)AFセンサーが働きます。キヤノンのカタログなどによると、精度もスピードも格段にアップするらしい…。たしかに僕の30DもEF70-200ミリF2.8Lを使うと、AFがズバズバ合います。ってことはEF-S17-55ミリF2.8 ISでもズバズバ合うんでないかい? と思って、北海道で試してみることにした次第です。


 で、写真甲子園の4日間+ついでに現地で過ごしたバカンスの3日間、17-55ミリを使いまくりました。
 その結果、やはりズバズバAFが合いました! 17-85ミリではAFを作動させると「はいはい、えーっとえーっと」とピントを必死に検出しているような印象でしたが、17-55ミリは「はいっ!」と狙ったところにスパッとピントを合わせてくれます。内部で「えっちらほ、えっちらほ」とレンズを動かしているコロボックルが、どうも5倍くらいに増えたようです。

 そして当然ですが、ファインダーが明るい! 広角側で1段、望遠側で(といっても焦点距離が違うので一概に比較できませんが)2段違うのは、やはりデカい。僕は実のところMFを多用しているのですが、ファインダーが明るいのでMFも快適でした。明るさの恩恵を受けられるのは、実はAFよりもMFかもしれません。17-85ミリに比べてレンズが大きくなった分、MFリングも微妙に広くなっています。


写真甲子園で木工所を撮影する高校生。工房内はかなり薄暗かったが、F2.8+ISのおかげで雰囲気を見事に再現できた。

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EOS30D、EF-S17-55ミリF2.8 IS(28ミリ相当)、Avモード・F2.8・マイナス1/3段(1/40秒)、ISO400


美瑛町の「親子の木」。あいにくのド逆光だったが、思い切って太陽を入れてみた。ゴーストの発生はほんのわずかで、レタッチで簡単に消せるレベル。縮小したのでわかりにくいが、手前の畑に咲くジャガイモの花もきっちり再現されている。
 
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EOS30D、EF-S17-55ミリF2.8 IS(17ミリ相当)、Avモード・F11(1/800秒)、ISO100


これも太陽の方にレンズを向けて撮影。ハレーションが起きてもおかしくない状況だが、絶妙なコントラストと発色。画像をパソコンで見て、その実力に驚いた。
 
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EOS30D、EF-S17-55ミリF2.8 IS(17ミリ相当)、Avモード・F10・マイナス2/3段(1/400秒)、ISO100


 描写も噂に違わず文句ナシでした。17-85ミリは広角側でタル型の歪曲が激しく、なるべく歪みの少ないEF-S10-22ミリF3.5-4.5を使っていました。でも17-55ミリはズーム全域でほとんど歪曲がありません。発色やシャープネスも、17-85ミリと比べると向上した印象を受けます。
さらにIS(手ブレ補正機構)も17-85ミリに比べ、動きがより細かくなった印象を受けました。17-85ミリでは気にならなかった補正機構の動作音が、17-55ミリでは「カチッ、カチッ」とはっきり聞き取れます。望遠側がそれほど長い焦点距離ではないからかもしれませんが、撮った写真を見ると手ブレは皆無でした。


富良野にて。ラベンダーが風でなびく様子を撮ろうと、絞りを最小(F22)にセット。こういう写真を手持ちで気軽に撮れるのも、ISという機能があるからこそだ。

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EOS30D、EF-S17-55ミリF2.8 IS(55ミリ相当)、Avモード・F22(1/12秒)、ISO100


 ただ17-85ミリ(35ミリフルサイズで27-136ミリ相当)の焦点距離に慣れた身には、望遠側が55ミリ(同88ミリ相当)までしかないのは、ちょっと物足りない感じがします。また17-85ミリと見た目はそっくりですが、67ミリだったフィルター径が77ミリになるなど、大きさと重量はそれなりにアップしています。


 というわけで、廉価版というイメージのあったEF-Sレンズシリーズに、Lレンズ並みのスペックと迫力で登場した17-55ミリ。「何が何でも明るさ重視」という方以外は、17-85ミリと非常に迷うところではあります。
 レンズ1本で旅や散歩に出掛け、気軽にスナップしたい……というのなら、僕はコンパクトでズーム比も高い17-85ミリをおすすめします。それから銀塩でEFレンズを揃えており、これから30Dでデジタルデビューという方も。30Dと一緒ならレンズキットで割安に買えますし、すでにLズームや単焦点があれば、目的に合わせて使い分けもできます。
 一方、30Dや20Dで真剣に作品を撮りたいという方は、やっぱり17-55ミリでしょう。ズーム全域でF2.8というのは、やはり気持ちがいいものです。さらにボケ味が欲しいという方は必須といってもいいでしょう。APS-Cサイズはただでさえボケにくい傾向にあるので、銀塩やフルサイズよりもその必要性は高いと思います。
 ただし17-55ミリ、値段もそれなり(実売で12万円前後)です。ほぼ同じ値段でフルサイズ機にベストマッチングのEF24-105ミリF4L ISが買えてしまいます。今も銀塩のEOSを使う方や、いずれはフルサイズという方は、ちょっと躊躇するところかもしれません。


 そして僕も北海道からの帰りの飛行機で自問自答しました。このまま17-85ミリを使い続けるべきか、17-55ミリに買い換えるべきか……。17-55ミリをじっくり使ってみて、17-85ミリの明るさ(というか暗さ)と広角側の歪曲にガマンできなくなってしまったのです。
 そしてどうしたかというと、17-85ミリを下取りに出して24-105ミリを買ってしまいました! 今まで「APS-Cサイズ万歳! EF-Sレンズ万歳!」と西の空に向かって叫び続けてきたのに、です。ええ、もちろん「いずれはフルサイズ」というのも念頭にありますよ、ありますとも。

 でも直接の理由は「いずれはフルサイズ」だからではないんです。たしかに24-105ミリはフルサイズでこそ真価を発揮するレンズ。でも17-85ミリから24-105ミリに買い換えれば、APS-Cサイズなら望遠側が136ミリ相当から168ミリ相当まで伸び、しかもF値は1段明るくなります。さらにLレンズですから画質や防水性は確実にアップ。MFリングも適度なトルクがあります。ISも確実にスペックアップしているでしょう。
 仕事ではインタビューや料理の撮影が多い僕にとって、標準〜中望遠域はとても大切なゾーン。そこにこの最新型Lズームを投入するのは、ベターな選択だと思ったのです。
 もちろん広角側が38ミリ相当と、標準ズームとして使いにくくなる点は気になりました。でも17-85ミリを使っているときも、広角側は描写のいい10-22ミリに頼ってきたのです。ならば広角側は10-22ミリに任せてしまおうと割り切ってみました。

 もちろんこの決断ができたのは、10-22ミリがすばらしいからこそ。以前も書きましたが、僕が20Dの次に5Dではなく30Dを買ったのも、このレンズを使い続けたかったから。逆光にめっぽう強く、発色・シャープネスとも抜群。軽量コンパクトで、価格(実売8万円前後)もLズームに比べれば手頃。もっと評価されていいレンズだと思います。


上富良野のひまわり畑。ピクチャースタイルを「風景」にして、青空と花を強調した。
 
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EOS30D、EF-S10-22ミリF2.5-4.5(17ミリ相当)、1/125秒、F16、ISO100

北海道ではあいにく10mmで撮影したカットが少なかったので、都内で撮影した作例を。あえてパースを強調してみた。
 
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EOS30D、EF-S10-22ミリF2.5-4.5(10ミリ相当)、Avモード・F8・・マイナス2/3段(1/320秒)、ISO100


 長くなってしまったので、ここいらで結論。レンズを2本持ち歩くことを厭わなければ、30Dまたは20D+10-22ミリ+24-105ミリは“いいとこ取り”なコンビではないかと思います。ただ2本の間にはたった2mm、されど2mmのスキマが生じます。万人におすすめできるかというと……微妙。気が弱いなオレ。
 気が弱いので、標準ズームには17-55ミリか17-85ミリを選ぶのが無難といえば無難ですと書いておきます。いや、本当に無難なんですよ。どちらも人気・実力とも高いレンズなので、中古市場やネットオークションでもそこそこの値がついているんです。つまりいずれフルサイズへ移行するなら、そのとき下取りへ出せばよいのです。

 ちなみに僕は17-85ミリをレンズキットで実質約7万円で購入。3か月使用後の下取り額は保証書付きで3万2000円でした。たった3か月で半額以下?と思われるでしょうが、なにせワールドカップ取材でめちゃめちゃ酷使したのです。中玉にはホコリ、外装にはアタリ、ズームリングも摩耗。まるで3年くらい使ったようなくだびれようで、査定した店員さんはレンズと保証書のシリアルナンバーを何度も見比べていました。完全に疑われていたみたいです。
 こんなことになるなら大事に使えばよかったとも思いますが、仕事ではそうもいっていられません。十分モトはとってくれましたし、2万円台前半の下取りを想定していたので大満足です。


 しかしあれこれ考えて買ったレンズを、たった3か月で買い換えるだなんて……。デジタルになって機材選びがつくづく難しくなりました。新製品が出るたび煩悩にさいなまれ、そしてそれを手にすることでまた新たな煩悩にさいなまれ。
 そう、24-105ミリを買ったらですね、やはり5D欲しくなるんですよ。EOSシステムというこの沼に、果たして底はあるのでしょうか……。沼の深さは選択肢のバロメーター、と自分で自分に言い訳をする今日この頃です。

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2006年8月 2日 (水)

Vol.05
ピクチャースタイルをいじり倒す(後編)

 ところが被写体が変わると、結果も変わるんです。

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 もっとも彩度が低く、濁った印象を受けるのはなんと「風景」。もっとも鮮やかなのは「ポートレート」でした。肌の再現性を重視しているため、黄色をより黄色く見せるようです。前の写真ではいまいちだった「ニュートラル」も悪くない。
 ちなみに実際の見た目は「ポートレート」よりもさらに鮮やかでした。
 
 
 
 こんな風景(?)でも「ポートレート」は使えます。

03

 日没後の牧場で撮影したもの。「ポートレート」では芝の緑がもっとも青々としています。「ニュートラル」は青みを残しつつ、かなり明るくなりました。「風景」は少し枯れた色に見えます。どれがベストかは好みで分かれると思いますが、僕なら「ニュートラル」が選びます。
 
 
 
 いささか分の悪い「風景」ですが、ここぞというとき頼りになるのも事実。

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 被写体そのものが地味な色なうえ、ベタ曇りというシチュエーション。でも風景はしっかり雰囲気を出してくれました。ただし実際の見た目は「ニュートラル」や「忠実設定」が近いです。
 
 
 
 また夕焼けも当然「風景」がベストマッチです。

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 ちなみにこの写真はホワイトバランス(WB)を「太陽光」で撮影しています。オートではカメラが勝手に“適正”に補正してしまい、せっかくの雰囲気を失ってしまうからです。かなり正確といわれるEOSのWBですが、「空気を読め!」というのはさすがに酷なようです。
 
 
 
 実際、WBをマニュアル設定しないと厳しい状況もあります。たとえばあまり日常には存在しない色が画面の大半を占めた場合。

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 褐色の屋根が並ぶ街並みを「オート」で撮影すると、左のように空が赤く濁ってしまいました。そこでホワイトバランスを「太陽光」にしたところ、見た目に近づきました。
 
 
 
 さらに2枚目に紹介した写真も、WBを「オート」で撮影していましたが……。

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 左が先程紹介した「オート」ですが、「くもり」にすると見た目に近づきました。ほとんど階調を失っていた奥のハイライト部分も、かなり再現されています。
 オートでは画面の大半を占める黄色に惑わされ、カメラは色温度を下げていた(青みの補正をかけていた)ようです。「オート」よ、まだまだじゃのう。
 
 
 
 話を再びピクチャースタイルに戻すと、20Dでも搭載されていたモノクロモードのフィルター機能。もちろんピクチャースタイルにも存在し、DPPから設定することもできます。フィルターに近い色が明るく、補色が暗く写り、風景などに効果があります。人物用のグリーンもあります。

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 小さくしてしまったのでわかりにくいかもしれませんが、ノーマルからレッドにかけて、遠くがクリアになっていきます。また船のコンテナをみるとわかる通り、本来は全然違う色でも、濃度が近いとまるで同じ色のように再現されます。フィルターを濃くするほどその傾向は強くなるため、意図によって設定を変えてみると効果的です。
 
 
 結論をまとめると、オールラウンドに使えるのは「スタンダード」。迷ったらこれです。ただしJPEGをパソコンでレタッチするなら、あえてメリハリを低くした「ニュートラル」で撮る方がベター。黄・赤・緑が被写体の大部分を占めたり、あるいは重要な要素となる場合は「ポートレート」。青空を鮮やかにしたり、遠景をクリアにするなら「風景」でしょうか。
ポイントは人物を撮るから「ポートレート」、景色を撮るから「風景」といった具合に、名前に惑わされないことです。
 
 ちなみにキヤノンのデジカメユーザー向けのホームページ・CANON iMAGE GATEWAYでは、追加項目として「ノスタルジア」「クリア」「トワイライト」「エメラルド」のDPP用設定ファイルをダウンロードできるそうです。
 僕はこれ以上猿になると仕事に支障が出るので、しばらくダウンロードはしません。興味のある方は30Dを買って、ご自分で猿になってください。
 
 
 次はEF-Sレンズについて書きたいと思います!
 
 
 
 
(注)お使いのモニター環境によっては、写真が原稿の内容と異なる印象に見えることがあります。

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2006年7月22日 (土)

Vol.05
ピクチャースタイルをいじり倒す(前編)

Picturestyle

 20Dから30Dへのモデルチェンジで新たに加わったのがピクチャースタイル。5Dと1DMark II Nで初めて搭載された新機能ですが、これ、気になっている20Dユーザーも多いと思います。

 キヤノンによると、そのコンセプトは「フィルムを選ぶように撮影者が自由に色を選ぶ」。まさに目的に合わせてポジフィルムを選ぶ感覚です。基本は6つの項目からなり(特徴などはキヤノンのホームページに紹介あり)、それぞれでシャープネスやコントラスト、色の濃さ、色合いを微調整できます。
 そういえばポジで作品を撮っていた頃、大事な撮影が迫ると天気予報をにらみながらヨ○バシカメラのフィルム売り場でよく迷ったものです。そして心配性の僕は、結局晴れ用とくもり用の2種類を買っていました。しかし今はピクチャースタイルのおかげで、1枚ごとに「これはベルビア」「これはアスティア」なんて具合に変更でき、結果をその場で確認できる……いい時代になりました。


 というわけで購入直後に試したのですが、項目によってかなり印象が異なります。いや、異ならないと意味がない機能なわけですが、プライベートはともかく仕事には使いにくいんです。たとえば雑誌やウェブの1コーナーを撮影するとして、掲載する写真のトーンがあまりにもバラバラではNGなのです。それにいちいち設定を変更するのも面倒だし、液晶モニターじゃ違いもわかりにくいし……と実はこれまで積極的に使ってこなかった機能なんです。
 僕の設定は常時「ユーザー設定1」。ここに「スタンダード」から「色の濃さ」を1段階アップした値を設定しています。レタッチをするならRAWデータを開くので、ここでの設定は関係ありません。というわけでJPEGをそのままクライアントに納品するときのことを考えてこうしました(色が少し濃い=発色が派手な方が、クライアントにはウケるんで……)。
 あとは日差しが強すぎる場合のため「ユーザー設定2」にコントラストを1段階下げた値を設定しています。が、うっかり八兵衛な僕は、初日の撮影で凡ミス。1枚だけこれに変更するはずが、しばらく戻し忘れたまま撮影を続けてしまったのです。それ以来、これは封印。

 またカスタムファンクションにより、サブ電子ダイヤル中央にあるSETボタンを押すと瞬時にメニューからピクチャースタイル変更が起動する、という機能もあります。これも購入してすぐに設定したんですが……。やはり初日、あるシーンでバババーッと連写。撮り終わって背面モニターを見ると……味わいのあるモノクロ写真が撮れていました。うっかり八兵衛、いつの間にかSETボタンとサブ電子ダイヤルを動かしていたようです。これまたすぐに機能をオフ。新機能を全然生かし切れていません。


 これじゃいかん! というわけでこのブログを機に、各項目の比較実験をやろうと思っていたんですが……。東京はなかなか晴れ間が訪れません。そうこうしているうちに、30Dを修理に出すことになりました。実は5月下旬、サービスセンターでセンサー清掃を依頼したところ、ゴミが工場でしか除去できない部分に付着していることが判明。
 しかし30D購入のきっかけとなったドイツ取材は翌日の出発。幸い写りにはほとんど影響がないということもあり、そのままドイツで使用することにしました。実際支障はありませんでしたが、放っておいていいものでもありません。来週には北海道で「写真甲子園2006」の取材があり、このタイミングで修理に出すことにしました。

 ですので「比較実験は北の大地でやるべ」と思っていたんですが……。
 ドイツで撮影したRAWデータを現像しようと思い、CAPA特別編集「キヤノンEOSデジタル RAW現像マスターブック」を読んでいると新発見! 30Dに付属しているRAW現像ソフト・Digital Photo Professional(以下DPP)にも、ピクチャースタイルの機能が内蔵されているじゃありませんか!!
 DPPは20DにもVer1.1が付属しており、僕もこれを使ってきました。しかしそんな機能はなかったはず……。いや、その頃はピクチャースタイルが存在しなかったから当然か。どうやら30Dに付属するVer2.1から組み込まれたようです(編集部注:気づくのが遅いって(笑))

 早速我がパソコンのDPPをバージョンアップ。30Dで撮影したRAWデータを開き、ピクチャースタイルのタブをいじってみると……。

00

 いやぁー、1枚の写真が瞬時にプロビアになったりベルビアになったりアスティアになったり、最後はT-MAXかアクロスにもなっちゃうじゃありませんか! まさにヨ○バシカメラのフィルム売り場が今ここにある、といった状態です。
 僕は次々とRAWデータを開き、まるで猿のようにピクチャースタイルのタブをいじりまくっていました。そして気が付いたら朝焼けを迎えていました……。

 なお、Ver1.1しかないという20Dユーザーも、キヤノンのホームページからVer2.1へのアップロードが可能です。これでピクチャースタイルのない20DのRAWデータでも、ピクチャースタイルの設定が可能になります。20Dユーザーの皆さん、ぜひダウンロードして猿になってみてください。
 ただし20DのRAWデータでは色味があまり変化しません。20Dと30Dではデータ形式が若干異なるらしいので、その差かもしれませんが…。
 本格的に猿になりたい方には、やはり30Dを購入されることをおすすめします。


 ではどんな風に七変化(項目は6つですが)するのか、結果をお見せしましょう。
※写真をクリックすると別画面で拡大されます

 まずは色とりどりの家が立ち並ぶ風景。こういう被写体が一番違いがわかりやすいようです。

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 正面の青い壁を見ると「風景」がもっとも鮮やかです。ただし屋根は「ポートレート」の方が気持ち鮮やかなようです。「スタンダード」と「忠実設定」はほぼ同じ。「ニュートラル」は濁ったような印象を受けます。

(後編に続く)

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2006年7月18日 (火)

Vol.04 
断然便利な1/3ステップの感度設定!

 今回は、前回予告した“30Dが20Dから進化した部分”、感度設定の話を。
 感度が1枚ごとに設定できるのは、銀塩にはなかったデジカメならではのメリット。それがさらに使いやすくなりました。
 
 
■30Dで可能になった「感度で露出を調節」

 まずこれまで僕が使ってきた20Dの話から。20DではISO100・200・400・800・1600+拡張で3200と、1段ステップの6段階で感度を設定できました。1D系は設定範囲こそ同じものの1/3段ステップで設定できます。
 もっとも実用上1段ステップでも不満はなく、むしろファインダーをのぞきながらでも簡単に感度を変えることができました。「あ、もう1段あげたいなぁ」というときは、右手人差し指でDRIVE/ISOボタンを押しながら、サブ電子ダイヤルを右へ1クリック。2段なら2クリック。これが習慣になっていました。
 それが30Dでは1D系と同じ1/3ステップにスペックアップ。細かく設定できるのはうれしいけど、1段でも3クリック回さなければいけません。2段なら6クリック。ファインダーをのぞきながら数えるのは面倒だなぁ……と思ったのです。

 ところが! いざ使ってみてびっくりしました。DRIVE/ISOボタンを押すと、ファインダー下に現在のISO設定値が表示されるじゃありませんか! 20Dではブラックアウトで何も表示されなかったのに……。
 これにより、ファインダーをのぞいたままでも正確に設定できるほか、屋外と室内を頻繁に行き来(当然感度もちょこちょこ変更)する状況でも、ささっと現在値を確認できるようになりました。
 そうなると1/3ステップも生きてきます。20Dで暗いところを撮影するとき、ISO800にするか1600にするかで迷うことが多々ありました。この両者には画質にそれなりの差が生じるからです。それが30DではISO1000や1250といった設定が可能。「少しでもシャッター速度を稼ぎたいけど、画質も良く撮りたい」といった状況で、これは助かります。シャッター速度と絞りを見ながら、ギリギリの値までアップ。あくまでマニュアル操作ですが、露出を感度で変える「シャッター&絞りの両優先AE」的な使い方ができるのです。
 いや、いっそ欲をいえばそういうAEモードがあれば最高ですね。設定したシャッター速度と絞りに合わせて感度だけが動く……うーん、できないかなぁ。それはちょっと贅沢かもしれないけど、カスタムファンクションで20Dのように「1段ステップ」も選べると、もっと多様なニーズに応えられたかもしれません。
 
 
■これなら思い切って感度を上げられる!

 一方で感度がファインダー内に表示されても、時折生じるのが設定ミス。室内で感度を上げたまま、屋外で撮影をしてしまうわけです。あまりにもシャッター速度が遅いと直感的に「感度を上げなければ」と思うんですが、必要以上に速い場合は気にならないんですよね……。Vol,01でアップした逆光の写真も実はそう。カンのいい方はすでにデータを見て「?」と思ったかもしれませんが(笑)。

 もっとも30Dは高感度でも十分な画質を誇っています。20Dとの違いはそれほど感じませんが、気にしてみると20Dでは感度を上げるとコントラストも上がったのに対し、30Dでは低感度のような豊かなトーンを保っているようにも思えます。
 そんなわけで30DはISO400なんて全然実用域。ISO1000でもノイズはほとんど気になりません。これにEF-S17〜85ミリF4-5.6 ISを組み合わせれば、ISの手ブレ補正効果のおかげで夜景も(よほど真っ暗でなければ、ですが)三脚なしで撮影ができます。新しく発売されたEF-S17〜55ミリF2.8ISなら、さらに無敵なはず。欲しいなぁ……。
 
 次は多くの読者の方が気にされているであろう、新機能「ピクチャースタイル」について書きたいと思います。
 
 
 
 
中世の街並みが残る城塞都市・ローテンブルグにて。城門に砲台や大砲がそのまま残されていた。ISO800に設定し、被写界深度が欲しいので開放から1段(F5.6)だけ絞った。再現の難しい状況だが、内部の質感がかなり再現できた。

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EOS30D、EF-S17〜85ミリF4-5.6 IS(17ミリ相当)、Avモード・F5.6・マイナス2/3段(1/12秒)、ISO800
 
 
 
同じ日の夜。町歩きを終えてホテルへ戻る途中、一匹の猫に出会った。すでにあたりは真っ暗で、20DならISO1600で撮影していた状況。少しでも画質を上げたいので絞りは開放から1/3段(F4.5)、シャッター速度は“セーフティスピード”と思っている1/8秒に設定。それで露出がマイナス1段になるまで感度を下げ、ISO1000でシャッターを切った。

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EOS30D、EF-S17〜85ミリF4-5.6 IS(17ミリ相当)、1/8秒、F4.5、ISO800


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2006年7月 6日 (木)

Vol.03 
EOS30Dを買った決め手はコレ!

 前回ちらっと書いた“ヘビーユーザーにはとても重要”なこととは何か。ズバリ1フォルダへの保存枚数が100枚から9999枚に増えたことです。なんと99.99倍にアップしたんです! といってもソフトウェア的にはたぶんそれほど(?)難しい問題ではないと思いますが……。
 
 
■フォルダが意味なく増えていく20D

 僕が常用しているCFカードは1GB(それが5枚)。これでRAWなら同時記録するJPEGによって70〜100枚、JPEGのラージファインなら250枚前後を撮影できます。
 でも20Dで厄介だったのは、100枚ごとにフォルダが分かれてしまうことでした。1枚のCFカードにほとんどJPEGを記録した場合、パソコンで画像を取り込もうとすると、フォルダが最低3つ、多いときは5つも6つも現れます。
 20Dでは1つのフォルダにファイル番号の下2ケタが01から00までが収められます。したがってあるCFカードでNo,6798から撮り始めたとすると、1つ目のフォルダにはNo,6798〜6800の3枚だけが収められます。2つ目にはNo,6801〜6900、3つ目にはNo,6901〜7000といった具合です。仮に250枚撮影したとすると、フォルダは4つに分かれてしまいます。
 するとパソコンにはひとつひとつフォルダを開いてコピーしていくか、一度まとめてコピーしてから、ひとつのフォルダにカット&ペーストかドラッグしてまとめていかなければいけません。その作業自体も面倒ですが、万が一コピーや整理を忘れて画像が残ったままのフォルダがあったら……。そして中の画像を消去してしまったら……。考えただけでもゾッとします。

 これは物理的にフォルダに100枚しか入らないということではなく、単にCFカードを管理するソフトウェアの問題。枚数を増やすのは技術的に難しい話ではないはずです(現に1D系は9999枚)。そこで以前キヤノンの方に「これってファームアップとかで1D系のように枚数をアップできないんですか?」と訊ねたのですが……。返事は「可能かもしれませんが、それがプロ機とアマ機の違いですね」。
 
 
■撮影後の作業が圧倒的にラクになった!

 しかし! 30Dの発表とともにウェブでスペックを確認すると……なんと「フォルダ保存枚数=9999枚」にアップしているじゃありませんか!! これは朗報です。
 というわけでGWに30Dを購入してからというもの。僕の撮影後の作業はとても快適になりました。今まで複雑な手順を踏んでいたのが、フォルダを開いてドラッグするだけで済むのです。

 ただしカメラからCFカードへの書き込み速度は、20Dに比べてかなり遅くなりました。めいっぱい連写を続けるとバッファからの書き込み待ち状態に入りますが、体感速度として20Dの倍近くかかります。
 これはおそらく30Dでは画像以外の情報が増えたためのようです。実際1枚あたりのデータサイズは20Dに比べて5〜10%ほど増えています。データ量が増えたから遅いのか、データそのものの処理に時間がかかっているのか、そのあたりはわかりませんが……。
 
 
次回はもうひとつ、30Dが20Dから進化した部分「感度設定」を書きたいと思います。買ってから気付いた、細かい改良点もあったりします。
 
 
 
 
ベルリンにて。ブランデンブルグ門を背に旧東ベルリン側を撮った。空中に張り巡らされたパイプは水道管。地下を2〜3m掘れば井戸ができるというベルリンならではの光景だ。
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EOS30D、EF-S10〜22ミリF3.5-4.5(12ミリ相当)、Avモード・F8・マイナス1/3段(1/320秒)、ISO100
 
 
 
早朝のデュッセルドルフ。路面電車がライン川に架かる橋を渡ってきた。逆光の中、露出補正をマイナスに振りシルエットを強調。
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EOS30D、EF-S17〜85ミリF4-5.6(66ミリ相当)、Tvモード・1/320秒・マイナス2/3段(F10)、ISO100

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「見た目の違い」を検証すると……